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勤務間インターバル制度とは?努力義務化になるデメリットは?

2019/04/04

勤務間インターバル制度とは

2019年4月1日より労働時間等設定改善法が改正され、勤務間インターバル制度が努力義務化されました。
 
勤務間インターバル制度とは、1日の勤務終了後から翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保するものです。
 
この制度の導入により、睡眠時間が増え、長時間労働による過労死リスクの低下が期待されています。
 
今回は、努力義務化になるメリット・デメリットについて、ご案内いたします。

 

勤務間インターバル制度とは

勤務間インターバル制度は、前述のとおり、勤務終了から翌日の出社までの間に休息時間を設ける制度です。
 
例として、下図のような働き方が考えられます。
 


 

出典:厚生労働省
勤務間インターバル制度

 

その他に、「一定の時刻以降の残業を禁止」、「次の始業時刻以前の勤務を認めない」こととすることなどにより、休息時間を確保する方法があります。
 
「健康づくりのための睡眠指針 2014」によりますと、米国における研究では、睡眠時間が6時間未満の者では、7時間の者と比べて居眠り運転の頻度が高いことが、日本における研究では、交通事故を起こした運転者で、夜間睡眠が6時間未満の場合に追突事故や自損事故の頻度が高いことが示されています。
 
他にも、「睡眠と労働生活の向上」(高橋正也(2016))で引用されているノルウェーの看護師を対象とした研究によると、シフト間隔が11時間未満となる回数が多くなるにつれて、不眠、強い眠気、過労の訴えが増加することが示されています。
 
このように、睡眠時間と翌日の勤務の生産性には、密接な関係があることがわかります。
 
働き方改革の目的である長時間労働の是正や生産性を向上させるためには、勤務間インターバル制度の導入が不可欠と言っても過言ではありません。

導入によるメリット・デメリット

①導入によるメリット

次の事項が挙げられます。

  • 健康維持に向けた睡眠時間の確保につながる
  • 生活時間の確保によりワーク・ライフ・バランスの実現に資する
  • 魅力ある職場づくりにより人材確保・定着につながる
  • 企業の利益率や生産性を高める可能性が考えられる

②導入によるデメリット

反対に、導入により以下のデメリットが考えられます。

  • 派遣会社の場合、派遣先が勤務間インターバル制度を導入しないと、実現が難しい
  • 派遣会社のみで勤務間インターバル制度を導入すると、残業時間の制限や翌日の始業時刻が繰り下げられることから、派遣先の要望に応えることが難しくなることが考えられる
  • 一人当たりの労働時間が限られるため、人員確保や効率化のためIT機器等の導入が必要
  • 繁忙期に、業務のことだけでなく、人員調整も考慮して対応が必要

 

勤務間インターバル制度の導入は労働者の健康確保という観点ではメリットをもたらしますが、一方で企業側に様々な制約が生じます。
 
特に、派遣会社の場合は派遣先の協力が必要不可欠なことから、一朝一夕にはできません。
 
勤務間インターバル制度を導入する場合は、派遣先を交えて、計画的に進めることが必要です。

制度を利用した助成金

時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)

概要

労働時間等の設定の改善を図り、過重労働の防止及び長時間労働の抑制に向け勤務間インターバルの導入に取り組んだ際に、その実施に要した費用の一部を助成するものです。

 

対象事業主

次の①~③のいずれにも該当する事業主
①中小企業基本法に定める中小企業事業主
②労災保険適用事業主
③9時間以上の勤務間インターバル制度が未導入あるいは、9時間以上のインターバル制度の対象となる労働者が半数以下である事業場があること

 

支給対象となる取組

次の①~⑩のいずれか1つ以上実施
1 労務管理担当者に対する研修
2 労働者に対する研修、周知・啓発
3 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など)によるコンサルティング
4 就業規則・労使協定等の作成・変更
5 人材確保に向けた取組
6 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
7 労務管理用機器の導入・更新
8 デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
9 テレワーク用通信機器の導入・更新 
10 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
※ 研修には、業務研修も含みます。
※ 原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。

 

成果目標

実施計画で指定したすべての事業場で、休息時間が「9時間以上11時間未満」または「11時間以上」の勤務間インターバルを導入
 

助成額

対象経費の4分の3が補助されます。31年度は、上限額が倍増されました。

 

申請の受付は、令和元年11月15日(金)まで(必着)です。
 
国の予算額に達した場合は、これより早く受付を締め切る場合がありますので、お早めに申請することをお勧めいたします。

 

人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)

※新設助成金です

概要

働き方改革に取り組む上で、人材を確保することが必要な中小企業が、新たに労働者を雇い入れ、一定の雇用管理改善を図る場合に助成されるものです。

 

対象事業主

前掲の時間外労働等改善助成金の支給決定通知の交付を受けた中小事業主

 

対象労働者

無期雇用者または有期雇用で1年超反復継続して雇用が見込まれる者

 

支給対象となる取組

人材の配置の変更や労働者の負担軽減等による雇用管理の改善の取り組みについて計画を策定し、実施する。

 

助成額

①計画達成助成 新規雇用者1人当たり 60万円(短時間は40万円)※上限10名
②目標達成助成 雇用管理改善計画開始日から3年経過日以降に申請し、生産性が6%以上であり、離職率の目標を達成した場合 労働者1人当たり15万円(短時間は10万円)

 

勤務間インターバル制度導入による費用補填があり、かつ従業員の新規採用でさらに助成金が受給できる内容となっております。この機に助成金を利用して社内整備を図りましょう。

 

まとめ

勤務間インターバル制度の認知度は低く、また、必要性を感じていない企業も多い状況です。
 
ですが、年次有給休暇の付与義務や時間外労働の上限規制の施行が開始される中で、生産性を向上させるためには、時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)に掲げるような全社的な取組の実施が必要と考えられます。
 
努力義務ではありますが、時間外労働削減の一助となりますので、前向きに検討することをお勧めいたします。

 

執筆者紹介

執筆者画像

吉田 彩乃  社会保険労務士法人ザイムパートナーズ

大学在学中に社会保険労務士試験合格。一般企業にて人事労務職を経験後、ザイムパートナーズに入所。現在は、副代表に就任し、派遣会社をメインに労務相談、就業規則、教育訓練、派遣許可・更新申請等に関するコンサルティング業務を担当。
社会保険労務士法人ザイムパートナーズ

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