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労使協定方式に関するQ&A【第2集】

2019/11/14

労使協定方式に関するQ&A【第2集】

今回は、令和元年11月1日に公表された労使協定方式に関するQ&Aについてご紹介いたします。
 
既にご覧になられた方も多いかと思いますが、今般取り上げられた内容は、1.労使協定の締結、2.基本給・賞与・手当等、3.退職金の3項目でした。
 
どんな質問が寄せられたのか、第1回は、「1.労使協定の締結」に着目し、回答の趣旨を確認していきたいと思います。

一般賃金の額と比較した結果、派遣スタッフの給与が上回っていた!

局長通知と現在の派遣スタッフの賃金を比較した結果、既に派遣スタッフの給与が一般賃金額を上回っていた派遣会社さんは、賃金改定・見直しの必要がないので、まずは一安心されたかと思います。
 
上回っているが故に、これを機に一般賃金に合わせたいと考えた派遣会社さんからの問い合わせが多かったのでしょうか。
 
早速ですが、質問と回答を確認していきましょう。

 

問1-1 現在、協定対象派遣労働者の賃金の額が一般賃金の額を上回るものとなっている場合、一般賃金の額の水準に変更する対応は可能か。

 

答 協定対象派遣労働者の賃金の額については、一般賃金の額と比較し「同等以上」であることを求めるものであることから、現在、協定対象派遣労働者の賃金の額が一般賃金の額を上回るものとなっていることを理由に、賃金を引き下げることは、派遣労働者の待遇改善を図ることを目指す改正労働者派遣法の目的に照らして問題であること。

 

確かに「一般賃金と比較し同等以上であること」の部分だけに着目すると、一般賃金額の水準に変更した場合でも(同等以上の要件は満たせるため)法律は守られているようにも読み取れます。
 
ですが、上記を分かりやすく言い換えると、一般賃金額よりも給与が良かったら、うちの給与を下げて一般賃金にしちゃうねという話です。
 
人によってウエイトの差はあるかと思いますが、入社を決める1つの決定要因として、給与額もあったはずです。
 
それなのに、そのような理由で自分の給与額が一方的に下げられた場合、大半の方は納得出来ないのではないでしょうか。
 
具体的な事例で見てみましょう。

 

◆現在、時給1500円のAさんがいたとします。
 
ある日、社長から「世間で同じような仕事をしている人は、時給1400円みたいなんだよ。今までうちは多く払い過ぎていたみたいだから、来月からAさんの時給は、1400円にするよ。」と言われ、実際に4月から1400円で計算されていたら・・・?
 
このような労働条件の低下を「不利益変更」といい、原則、一方的な労働条件の不利益変更は出来ないことになっています。
 
「労働契約法」という派遣法とは別の法律にて定められているからです。
 
今回はスペースの関係上、詳細を割愛いたしますが、ご興味のある方は労働契約法8条から13条をご覧ください。
※(労働契約の内容の変更)部分です。

 

基本給は減らすけど、その代わり通勤手当(新手当)を支給し、調整するならどうなの?

ただ引き下げるだけでは不利益変更になってしまうことは理解出来た。
 
じゃあ代替要件を提示した上で、引き下げるなら問題にならないのか?という疑問が多かったのでしょうか。
 
続いての質問と回答を確認していきましょう。

 

問1-2 現在、協定対象派遣労働者の基本給等が一般賃金の額を上回るものとなっている場合に、通勤手当等を新たに支給する一方で、基本給を引き下げ、派遣労働者の賃金の総額を実質的に引き下げることは可能か。

 

答 通勤手当等を支給する一方で、基本給を引き下げ、派遣労働者の賃金の総額を実質的に引き下げることは、改正労働者派遣法の目的に照らして問題であること。

 

先程の問1-1との違いは、基本給を下げる代替措置として、通勤手当を支給するという案を提示している点です。
 
確かに、支給される通勤費が非課税枠であれば、派遣スタッフにとって所得税が減る(=手取額が増える)というメリットが考えられます。
 
一方で、通勤手当は、残業代の基礎単価に含まれないこと、また賞与支給時の基礎単価としているケースでは、賞与額の減少に繋がり、実質の減額になる可能性があることを思料すると、デメリットになるケースも考えられます。
 
そして、もっとも問題な点は、実質、総額が引き下げられることです。
 
つまり、どんな代替案を提示しても、総支給額が減額されるのであれば、不利益変更に該当するということです。

 

まとめ

8月17日に公表された第1集から、約2ヶ月半後の11月1日に、第2集の労使協定方式に関するQ&Aが公表されました。
 
第1集の内容と比較すると、「改正派遣労働者法の趣旨や目的(派遣労働者の待遇改善を図ること)に反することは適当でないこと(問題であること)」という表現が繰り替えし、使われています。
 
このことから、派遣法改正の趣旨に誤解が生じないよう忠告を含んでおり、政府が目指すべき「同一労働同一賃金」の考え方を改めて明示しているように感じました。
 
改正派遣法の施行まで、残すところ半年を切り、多くの派遣会社さんは苦慮されながらも、方向性を固める時期に入ってきた頃かと思います。
 
今後も政府から発信される情報等に注目し、読んでくださる皆様にとって、より有意義な情報提供が出来ますよう精進いたします。

 

執筆者紹介

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棚橋 朋香  社会保険労務士法人ザイムパートナーズ

金融機関にて預金・融資業務全般を従事後、社労士業界に身を置く。
財務・労務と多様な視点で企業様のお力になりたいという思いをきっかけに、社会保険労務士資格を取得し、登録。
現在は労働者派遣事業許可申請支援、給与計算、労務手続、労務相談など多岐にわたる社会保険労務士業務に従事。
社会保険労務士法人ザイムパートナーズ

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