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おさえておきたい同一労働同一賃金~派遣先均等・均衡方式編~

2019/06/13

勤務間インターバル制度とは

2020年4月より施行される改正労働者派遣法における同一労働同一賃金について、今回は派遣先均等・均衡方式についてご案内致します。

 

派遣先均等・均衡方式は派遣先の協力が不可欠

派遣先均等・均衡方式を導入にあたり、派遣先に、比較対象労働者の待遇情報を教えてもらう必要があります。

 

★派遣先から情報提供がないときは、労働者派遣契約を締結することができません。

 

  • 比較対象労働者の職務の内容、職務の内容・配置変更の範囲、雇用形態
  • 比較対象労働者を選定した理由
  • 比較対象労働者の待遇のそれぞれの内容(昇給、賞与その他の主な待遇が無い場合には、その旨を含む。)
  • 比較対象労働者の待遇のそれぞれの性質及び当該待遇を行う目的
  • 比較対象労働者の待遇のそれぞれを決定するに当たって考慮した事項

 

比較対象労働者の待遇等に関する情報提供(記載例)

 

上記からわかりますように、派遣先のかなり詳細な情報を聞き出すことから始まります。
 
情報を入手したうえで、派遣先の比較対象労働者と派遣スタッフの「職務の内容」「職務の内容・配置の変更の範囲」が同じかどうかを確認します。
 

「職務の内容」「職務の内容・配置の変更の範囲」が全く同じ場合は、均等待遇の対象となり、基本給や手当、賞与、退職金等を同じ基準にする必要があります。
 
「職務の内容」「職務の内容・配置の変更の範囲」が異なる場合は、均衡待遇の対象となり、すべての待遇について待遇差の合理性を判断していく必要があります。
 
なお、派遣先が事実に反するような内容の情報を提供した場合は、労働者派遣法に基づき、勧告・公表の対象となる可能性があります。
 
また、情報提供資料は、派遣先・派遣元ともに労働者派遣が終了した日から3年を経過する日まで保存義務があります。
 
情報提供依頼時に、その旨お伝えいただけると良いと思います。

 

不合理な待遇差の判断方法

待遇差が不合理かどうかを判断するにあたり、まずは、職務の内容(業務の内容と責任の程度)を詳細にヒアリングする必要があります。
 
業務の内容は、職種と中核的業務が実質的に同じかどうか、判断します。
 
職種は事務職や販売職、管理職、製造工等といった従事する業務のことをいいます。
 
※厚生労働省職業分類 細分類を用いると対象が絞られ、比較しやすくなります。
 
次に責任の程度が実質的に同じかどうか(著しくことならないかどうか)、判断します。
 
責任の程度とは、業務の遂行に伴い行使するものとして付与されている権限の範囲・程度等をいい、例えば以下のものを指します。

 

  • 単独で決済できる金額の範囲
  • 管理する部下の人数
  • 決裁権限の範囲
  • 職場において求められる役割
  • トラブル発生時や臨時・緊急時に求められる対応
  • 売上目標等の成果への期待度 など

 

    <例>
    ある食品製造会社はドライバーとして通常の労働者を雇用するとともに、派遣労働者を受け入れています。どちらもドライバーということで業務(職種)も中核的な業務も同じですが、通常の労働者のドライバーには、繁忙時や急な欠勤者が出た場合の対応が求められ、実際月末になると残業をすることが多い一方、派遣労働者のドライバーにはこれらの対応は求められていません。この場合には、業務に伴う「責任の程度」が異なるため、「職務の内容」が異なると考えられます。
     
    不合理な待遇差解消のための 点検・検討マニュアル~改正労働者派遣法への対応~ 抜粋

 

上記の事例のように、業務の内容は同じだけど、責任の程度が異なる場合は、均衡待遇の対象となります。
 
派遣先の賃金の決定基準(賃金テーブルや賃金規程等)を教えてもらい、派遣スタッフの賃金を決めていきます。
 
比較すべき待遇は、職務に関連する賃金だけではありません。
 
職務関連以外の手当(通勤手当、家族手当、住宅手当、食事手当、退職金等)や福利厚生(給食施設、休憩室、更衣室、慶弔休暇、病気休職等)、派遣先の教育訓練、安全管理等も対象です。
 
特に、食費の負担補助として支給される食事手当は、影響が大きいところです。
 
派遣先の正社員と派遣スタッフとで食費の負担割合が異なる場合は、是正が必要です。
 
なお、最終的に不合理か否かは裁判で判断されますが、まずは、派遣会社が法の趣旨に沿って判断することが必要です。
 
派遣会社は派遣スタッフに待遇に関する説明義務がありますので、スタッフの納得が得られるよう根拠をもって説明できるようにしておきましょう。

 

派遣先均等・均衡方式のメリット・デメリット

改正派遣法は派遣先均等・均衡方式が原則ですが、労使協定方式により自社独自の待遇を決定することもできます。
 
派遣先均等・均衡方式のメリット・デメリットは以下が考えられます。

 

派遣先均等・均衡方式のメリット

・比較対象労働者と「職務の内容」「職務の内容・配置の変更の範囲」が全く同じ場合は賃金決定しやすく派遣スタッフの納得が得られやすい
・派遣先の待遇が良い場合は、求人や定着率に効果がある

 

派遣先均等・均衡方式のデメリット

・派遣先の情報提供による負担が大きい
・業務内容が同じでも、派遣先が変わる都度、賃金が変わる
・派遣先に賞与や退職金等が無く待遇に満足できないと派遣就労を辞退される可能性がある

 

以上を考慮のうえ、導入を検討いただけますと幸いです。

 

執筆者紹介

執筆者画像

吉田 彩乃  社会保険労務士法人ザイムパートナーズ

大学在学中に社会保険労務士試験合格。一般企業にて人事労務職を経験後、ザイムパートナーズに入所。現在は、副代表に就任し、派遣会社をメインに労務相談、就業規則、教育訓練、派遣許可・更新申請等に関するコンサルティング業務を担当。
社会保険労務士法人ザイムパートナーズ

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