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派遣スタッフから育休を求められたときの対応とは

2019/05/28

育児休暇

今は男性もイクメンとして育休を取得する時代です。
 
正社員だけでなく派遣スタッフなど非正規雇用の方も、育休をもちろん取得できます。
 
派遣スタッフから育休を求められたとき、派遣会社としてどう対応するかをご説明いたします。

 

産前産後・育児休業とは?

出産・育児をする場合は、その期間について法律で定められている休業があります。
 
産前産後休業とは、出産(予定日)日以前42日(多胎の場合は98日)と、出産日後56日の間で、妊娠または出産を理由として会社を休んだ期間のことです。
 
育児休業とは、1歳未満の子(一定の要件を満たす場合には、最長で2歳まで延長が可能)を養育するため休業する期間のことです。
 
ノーワーク・ノーペイの原則により、休業によって給料収入が途絶えることになりますので、行政から補填として給付金がもらえます。
 
イメージは、以下の図です。

 

※休業期間中は、社会保険料を免除にすることができます。

 

給付金の金額について

    ・出産手当金 給料(標準報酬月額)の3分の2
    ・出産育児一時金 42万円
    ・育児休業給付金 給料の67%(休業が180日を超えますと、50%になります)

 

給料は、残業代などを含めて、休業を開始する前の6ヶ月間の平均の金額となります。

 

派遣スタッフの育休取得の条件について

派遣スタッフが有期雇用契約なのか無期雇用契約なのかで、多少取扱いが異なります。

 

A.無期雇用契約の派遣スタッフ

①同一の派遣元会社で1年以上所属(派遣先が異なっても問題ありません)
②週の所定労働日数が3日以上(週2日以内ですと、会社は拒むことができます)
③育休を開始した日前の2年間に、ひと月あたり、出勤した日数が11日以上ある月が通算して、12ヶ月以上(前職と通算できます。※前職を離職し、失業保険の給付を受けた場合は通算できません)

 

B.有期雇用契約の派遣スタッフ

有期雇用の場合、無期の方と比べるとハードルが1つ増えます。上記の①、②、③に加え、
 
④子が、1歳6ヶ月になるまでに雇用関係の終了が確定していないことを満たさないといけません。
つまり、職場復帰する前提ですので、雇用契約は更新し続ける必要あります。
 
育休の扱いにならないということは、雇用保険からの給付金である育児休業給付がもらえないということになります。
 
①の期間については、出産後に所属する期間が1年以上になった時点で、給付金を申請することもできます。

 

育休を取得した派遣スタッフに対する不利益取扱いの禁止

平成29年に施行された労働者派遣法では、派遣元のみならず派遣先にも育児・介護休業法が適用され、休業を取得したことを理由とする不利益取扱いが禁止されています。
 
例えば、派遣先、派遣元として以下の取扱いはしていないでしょうか?これらは禁止されております。

 

・育児休業に入るまでの間、スタッフの交代を求める
・契約の更新を打ち切る
・マタニティハラスメントの言動
・本来の業務より雑務ばかり従事させる
・減給や賞与の算定、人員考課で不利益な評価をする
etc…

 

派遣先もハラスメント対策として、相談窓口を設置するなどの雇用管理上必要な措置義務を負う事になりました。

 

派遣スタッフは、派遣先で仕事していますが、雇用関係はありません。
 
そのため、同じ組織の仲間であるという意識が生まれにくく、ハラスメントが生じやすくなっています。
 
また、派遣先との労働契約が解消すると派遣元との雇用契約も終了することも多く、派遣スタッフの雇用が不安定で立場が弱いです。
 
そのため、派遣契約を打ち切られたくないという心情が働きやすく、派遣先からのハラスメントに対する対応が困難な状況に成りやすいのです。
 
このように派遣スタッフの立場に起因する心情も、ハラスメントを助長する一因となっております。

 

派遣元として、どう動くか

派遣先にも不利益取扱いが禁止されたことを踏まえ、派遣元としては、派遣先に、休業を取得する派遣スタッフが不利益取扱いをされないような職場環境を形成するための理解を求めるよう、働きかけることが大事です。
 
派遣元は、派遣スタッフの雇用主として、派遣就業が適正に行われるように必要な措置を講ずる等適切な配慮をすべき義務(職場環境配慮義務)を負うからです。
 
また仮に派遣スタッフから、派遣先から派遣スタッフへの被害申告を受けた際に、自ら派遣先に対して調査を申し出るなどして事実関係の調査を行い、二次被害を受けないように適切な対応を行うよう働きかけるとともに、派遣契約の中途解除がされたときは、派遣先に是正を求めるなどの対応を行わなければ、配慮をすべき義務を怠ったと判断される可能性があります。
 
誠実に対応することが求められます。

 

まとめ

育児・介護休業法では、派遣スタッフの育休取得を当然認めており、取得する要件が緩和されてきています。
 
今後も派遣スタッフを含めた非正規雇用者が、育児休業を取得する機会は減ることは無く、増えることになるでしょう。
 
派遣会社は、自社の雇用する派遣スタッフの為にも、育児休業の取得を促進するための旗振役と成ることが望ましいでしょう。
 
この取り組みが、御社で働きたいという派遣スタッフが増えることにもつながるかもしれません。
 
なお、出産手当金、出産育児一時金の給付と社会保険料の免除は勤続年数にかかわりなく、申請できます。

 

執筆者紹介

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伊藤 剛  社会保険労務士法人ザイムパートナーズ

大学卒業後、大手派遣会社にて人材派遣の営業職を経験し、社会保険労務士試験に1発合格。合格後ザイムパートナーズに入所。現在は労働者派遣事業許可申請支援、給与計算、労務手続、労務相談など多岐にわたる社会保険労務士業務に従事。
社会保険労務士法人ザイムパートナーズ

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