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2020年から施行される派遣法改正~派遣先編~

2019/07/04

2020年派遣法改正

2020年4月1日より、労働者派遣法が改正されます。
 
今回は、派遣先が注意することについてまとめてみました。

 

派遣先が義務化された項目

改正により義務化された項目は、次の5つです。

 

  • ①正社員への教育訓練は、派遣労働者にも実施(配慮義務⇒義務
  • ②福利厚生施設は派遣労働者にも利用させる(配慮義務⇒義務
  • ③福利厚生施設以外も派遣労働者に利用させる(努力義務⇒配慮義務
  • ④派遣労働者の待遇確保のための派遣料金に関する配慮(配慮義務
  • ⑤派遣労働者の職務遂行状況等の情報提供(努力義務⇒配慮義務

 

それでは、具体的に見てみましょう。

 

①教育訓練

 

教育訓練は、本来雇用主である派遣会社が実施すべきですが、派遣先の業務に密接に関連した教育訓練については、実際の就業場所である派遣先が実施することが適当であるとし、今回の改正により派遣先の正社員と同様の教育訓練を受けさせることを義務化しました。
 
また、派遣会社に義務付けられている段階的かつ体系的な教育訓練(以下、「キャリアアップ教育」といいます。)を実施する場合は、可能な限り協力するほか、必要に応じた教育訓練に係る便宜を図るよう努めなければならないとしています。
 
時々、「キャリアアップ教育を受けさせたいけど、派遣先が多忙で教育訓練を実施する時間が無い」という声を耳にすることがありますが、派遣先も努力義務となっていますので、可能な限り協力することをお勧めいたします。

 

②福利厚生施設の利用

 

食堂や休憩室、更衣室は、業務の円滑な遂行に資する施設として、派遣労働者と派遣先の社員とで別の取扱いをすることを禁じたものです。
 
従前は「配慮義務」でしたが、今回の改正により「義務」となりました。

 

③福利厚生(②の施設以外)

 

派遣先は、派遣就業が適正かつ円滑に行われるようにするため、適切な就業環境の維持、診療所等の施設であって、派遣先の社員が通常利用しているものは、派遣労働者の利用にも便宜供与するよう配慮義務となりました。
 
ここでいう「診療所等の施設であって、派遣先の社員が通常利用しているもの」とは、派遣先が設置及び運営し、派遣先の社員が通常利用している売店、病院、診療所、浴場、理髪室、保育所、図書館、行動、娯楽室、運動場、体育館、保養施設等の施設をいいます。
 
なお、配慮義務というのは、何らかの具体的な措置を講ずることを求めるものですが、派遣先の社員と同様の取扱いをすることが困難な場合まで同様の取扱いを求めるものではありません。
 
労働者派遣事業関係業務取扱要領(2020年4月1日以降)によりますと、以下の記載があります。

 

    例えば、定員の関係で派遣先の労働者と同じ時間帯に診療所の利用を行わせることが困難であれば別の時間帯に設定する等の措置を行うことにより配慮義務を尽くしたと解される。

 

④派遣労働者の待遇確保のための派遣料金に関する配慮

 

こちらは、前回の記事「2020年から施行される派遣法改正~労働者派遣契約編~」にてご案内しましたので、詳細はこちらをご覧ください。

 

⑤派遣労働者の職務遂行状況等の情報提供

 

派遣先は、派遣会社からの求めがあった場合、派遣先の社員に関する情報や派遣労働者の職務遂行状況等の情報を提供するよう配慮義務となりました。
 
職務遂行状況等の情報は、以下の目的のために必要となります。

 

    ・キャリアアップ教育やキャリアコンサルティングのため
    ・(派遣先均等・均衡方式の場合)派遣労働者と比較対象労働者との間の待遇の相違の内容及び理由等の説明のため
    ・(派遣先均等・均衡方式の場合)派遣先社員との間の均等・均衡待遇の確保のため
    ・(労使協定方式の場合)労使協定に基づく待遇確保のため

 

Q職務遂行状況の報告は、具体的にどのようにすれば良いですか?
 
A仕事の処理速度や目標の達成度合いに関する情報を指します。派遣先の能力評価の基準を用いたり、様式により客観的に示されたもので足ります。

 

★派遣会社が派遣労働者の職務能力の評価を行う場合は、上記の情報だけでは足りません。

 

派遣先の評価はあくまでも『参考』であり、派遣会社自ら収集した情報に基づき評価を行うことが必要です。
 
派遣労働者の人事権や賃金決定権は、雇用主である派遣会社にあります。
 
それにもかわらず、派遣先のみが評価を行い、それが派遣料金に反映され、実質的に派遣労働者の賃金が決定されている場合は、派遣先との間に黙示の労働契約が成立する可能性があります。
 
派遣先の評価を参考としつつ、自社の評価基準に基づき賃金決定が必要です。特に、労使協定方式を採用する派遣会社は、公正な評価基準を設ける必要がありますので、ご留意ください。

 

★派遣先が教育訓練を実施せず、または福利厚生施設の利用の機会を付与しない場合

 

厚生労働大臣による指導若しくは助言の対象になります。
 
また、指導等に従わなかった場合は勧告の対象になり、最終的には企業名を公表されることもあります。
 
労働者派遣法は、派遣元だけでなく、派遣先も熟知しておく必要があります。派遣社員を1人でも受け入れている派遣先は、留意しておきましょう。

 

執筆者紹介

執筆者画像

吉田 彩乃  社会保険労務士法人ザイムパートナーズ

大学在学中に社会保険労務士試験合格。一般企業にて人事労務職を経験後、ザイムパートナーズに入所。現在は、副代表に就任し、派遣会社をメインに労務相談、就業規則、教育訓練、派遣許可・更新申請等に関するコンサルティング業務を担当。
社会保険労務士法人ザイムパートナーズ

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