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同一労働同一賃金~労使協定方式確認事項について~

2020/02/28

労使協定方式確認事項

いよいよ4月より、改正派遣法が施行されます。
 
今回は、労使協定方式の事前確認事項についてご案内いたします。

確認事項1 従業員過半数代表者の選定手続きは、民主的な方法で選出していますか?

事業主の意向・指名等に基づき選出された方はNGです。
 
まずは、①立候補の機会を与えて候補者を募り、②選挙を行い、③過半数以上の信任を得た方が従業員過半数代表者になることができます。
 
※候補者に対し、不信任者を募る方法は望ましくありません。不信任者がいない≠信任しているとは限らないためです。

 

確認事項2 労使協定の対象となる派遣労働者の範囲は適切ですか?

「すべての派遣労働者」としていませんか?
 
労働者派遣事業業務取扱要領には、派遣労働者の職種、雇用期間の有無等の特性に応じて、労使協定の対象とするか否かを判断すべきとされています。
 
また、性別、国籍等他の法令に照らして不適切な基準によることもNGです。

 

確認事項3 職種の選択は適切ですか?

原則として賃金構造基本統計または職業安定業務統計より派遣労働者が従事する業務と最も近いと考えられるものを選択することになるわけですが、それが適切かどうか、再確認いただけると良いと思います。
 
また、賃金構造基本統計と職業安定業務統計を使い分ける場合は、その理由を労使協定書に記載する必要がございます。なお、職業安定業務統計の大分類・中分類・小分類を使い分ける場合も理由の記載が必要です。

 

確認事項4 地域指数は適切ですか?

地域指数は、派遣元ではなく派遣先の事業所の地域指数を適用します。
 
また、派遣先の事業所と実際の就業場所が異なる場合は、「派遣先の事業所」を基準として地域指数を決定しなければならないことに注意が必要です。
 
ここでいう派遣先の事業所とは、雇用保険適用事業所と同じで、工場、事務所、店舗等、場所的に他の事業所その他の場所から独立していること、経営の単位として人事、経理、指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること、一定期間継続し、施設としての持続性を有すること等の観点から実態に即して判断されます。
 
但し、雇用保険適用事業所でなくとも実態として独立性があると認められれば、就業場所を基準とすることも可能です。
 
地域指数は、「都道府県単位」「ハローワーク単位」どちらを使用することも可能です。
 
但し、両方を使い分ける場合はその理由を労使協定書に記載する必要がありますので、ご留意ください。

 

確認事項5 通勤手当の支払方法は適切ですか?

通勤手当の支払い方法は、「実費支給」または「時給換算で72円以上」支給する必要があります。
 
但し、実費支給で上限を設ける場合は、「72円×対象従業員の平均所定労働時間以上」である必要がありますので、こちらも要注意です。

 

確認事項6 能力・経験調整指数の当てはめは適切ですか?

能力・経験調整指数は、協定対象派遣労働者の能力や経験を踏まえつつ、一般の労働者の勤続何年目相当に該当するかを考慮して適切なものを選択する必要があります。
 
ここで問われるのは、能力・経験調整指数当てはめにあたり、職務基準など定義づけがされているかどうかです。
 
例えば、Cランクは0年目相当、Bランクは3年目相当、Aランクは5年目相当などランク付けする場合は、どのような要件を満たせば上位ランクに上がるのか、昇格の仕組みを整備することが必要です。

 

確認事項7 一般賃金額と対象従業員の賃金額が同等以上となっていますか?

月給制の場合は、対象従業員の平均所定労働時間で除した額が一般賃金額と同等以上になっている必要があることに注意が必要です。
 
また、固定残業代は対象従業員の賃金に含めることはできないため、こちらも要注意です。

 

確認事項8 昇給規定の定めがありますか?

労使協定方式は、「派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力または経験やその他の就業の実態に関する事項の向上があった場合に改善されるものでなければならない」とされています。
 
客観的な基準により評価を行い、能力等の向上があった場合は昇給させる仕組みが必要となります。
 
昇給させる仕組みが無い場合は、今のうちに整備しておきましょう。

 

確認事項9 退職金の支払い方法は適切ですか?

退職金については、選択肢が3つあります。
 
①退職金制度導入、②前払方式により時給換算で一般賃金額の6%以上、③中退共等に加入し、一般賃金の6%以上の掛金とする方法です。
 
①の退職金制度を導入する場合は、局長通達に定める基準をクリアしていることが必要です。
 
また、②と③を選択する場合は、一般賃金額×地域指数×6%ですので、こちらも注意しましょう。

 

確認事項10 派遣先から情報提供を受けていますか?

労使協定方式でも派遣先からの情報提供が無いと派遣契約を締結することができません。
 
具体的には、派遣先で実施される教育訓練と福利厚生施設の利用の有無です。
 
4月1日以降の派遣契約を締結する際は、こちらも必要なので、3月中に準備をしておきましょう。

 

執筆者紹介

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吉田 彩乃  社会保険労務士法人ザイムパートナーズ

大学在学中に社会保険労務士試験合格。一般企業にて人事労務職を経験後、ザイムパートナーズに入所。現在は、副代表に就任し、派遣会社をメインに労務相談、就業規則、教育訓練、派遣許可・更新申請等に関するコンサルティング業務を担当。
社会保険労務士法人ザイムパートナーズ

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