2019年4月1日から開始!「特定技能」の現状とは
2019/07/19
今年に入り、外国人労働に関するニュースを耳にする機会が一段と増えたように感じます。
今回は、派遣会社様からも感心が高い「特定技能」についてご紹介いたします。
経緯
2019年4月1日、改正出入国管理法が施行され、新たに「特定技能1号」「特定技能2号」の在留資格を認めることとなりました。
【概要】深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材確保のための取り組みを行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有する外国人材を受入れる制度です。
※14分野が、選定されました(=特定分野)
ご存知のとおり、現在の日本は世界に例を見ないスピードで少子高齢化(生産年齢人口が減少)が進んでいます。
高齢者や女性の労働力を見直し、働き方改革を筆頭に様々な対策を講じてはいますが、外国人の就労機会も検討せざるを得ない状況だと言われています。
その1つとして今般の特定技能制度(外国人労働者の受入れ拡大)が導入されました。
【参考】14分野それぞれの5年間で受入れ人数見込みが公表されています。
(合計:345,150人)
特に、介護(60,000人)、外食業(53,000人)、建設業(40,000人)の分野では、積極的に受入れを見込んでいることが分かります。
「移民制度ではないか」、「外国人を受入れる準備が充分されていない中での導入ではないか」など一部懸念の声があがっているのも事実ですが、施行後3ヶ月が経過し、現状と、現時点での見解をまとめたいと思います。
現状を紹介する前に、まずは「特定技能」の外国人を雇用する方法について再確認しておきましょう。
現時点での雇用方法は、下記2点のどちらかです。
- ①特定技能の各試験で合格した外国人を雇用する
- ②技能実習2号を修了し、特定技能ビザに切替申請した外国人を雇用する(つまり、技能実習修了者であれば、試験免除で、在留資格の変更が出来ます)
特定技能1号の在留資格を取得した外国人は、在留カードとともに、特定業務の内容が記載された『指定書』が交付されます。採用時には、「指定書」も必ず確認しましょう。
試験の実施状況について
基本的には、日本語評価試験と技能評価試験の両者を合格することが要件になります。
しかし、現時点で技能試験が行われている分野は「介護・宿泊・外食業」の3分野のみです。
他は「※準備中」との表記になっています。
①介護分野について
◆第1回 介護技能評価試験・介護日本語評価試験(フィリピン)
日程:4月13日(土)~14日(日)
結果:受験者数113名
介護技能評価合格者94名 合格率83.2%
介護日本語評価試験合格者97名 合格率85.8%
◆第2回 介護技能評価試験・介護日本語評価試験(フィリピン)
日程:5月25日(土)~27日(月)
結果:受験者数336名
介護技能評価合格者140名 合格率41.7%
介護日本語評価試験合格者121名 合格率36.0%
◆第3回 介護技能評価試験・介護日本語評価試験(フィリピン)
日程:6月15日(土)~16日(日)
◆第4回 介護技能評価試験・介護日本語評価試験(フィリピン)
日程:6月22日(土)~24日(月)
◆第5回 介護技能評価試験・介護日本語評価試験(フィリピン)
日程:7月1日(月)~4日(木)、8日(月)~11日(木)
◆第6回 介護技能評価試験・介護日本語評価試験(フィリピン) ※7/8掲載
日程:8月6日(火)~8日(木)、8月17日(土)~19日(月)
◆第7回 介護技能評価試験・介護日本語評価試験(フィリピン) ※7/8掲載
日程:9月9日(月)~12日(木)
②宿泊分野について
◆第1回 宿泊業技能測定試験
日程:4月24日(日)
試験会場:札幌/仙台/東京/名古屋/大阪/広島/福岡
合格発表:5月25日(土)
結果:受験者数391名 合格者280名 合格率71.6%
◆第2回 宿泊業技能測定試験
【未決定】詳細を決定し次第、当ホームページでお知らせいたしますと表示されています
③外食業分野について
◆第1回 特定技能測定試験
日程:4月25日(月)、4月26日(火)
試験会場:東京/大阪
結果 受験者数460名 合格率は75.4%(14業種で初めて合格者が出ました)
◆第2回 特定技能測定試験
日程:6月24日(月)
試験会場:札幌/仙台/岡山
日程:6月27日(木)
試験会場:東京/名古屋/大阪
日程:6月28日(金)
試験会場:東京/名古屋/福岡
合格発表:7月下旬
また、今後のスケジュールが既に発表されています。
各業界からも、人手不足の解消になると注目されている分野ばかりですが、試験には全国から申し込みが殺到し、受験するだけでも大変な状況のようです。
準備が整い次第速やかに実施される予定ではあるものの、まだまだ試験が行われている分野は限られているのが現状です。
(飲食料品製造業は9月に公表予定と発表されています)
特定技能認定に関するニュース等について
(一般社団法人共同通信社) 4/26より
カンボジア国籍で技能実習生の20代女性2人に、新たな在留資格「特定技能1号」へ資格変更を許可する通知書を送ったと発表した。業種は農業。
入管庁によると、19日までに、過去に技能実習生として日本で働き現在は海外在住の23人と、日本で実習中の4人から新資格取得の申請があった。
少し古い記事ですが、第1号の「特定技能1号」が認定された外国人は、予想通りの技能実習生から特定技能1号への留資格変更でした。
まとめ
以上のように、期待・注目されている新在留資格ですが、「特定技能1号」を取得した外国人は20人程だと言われており、当初の予定を大幅に下回っているようです。
今後も試験日程や、合格率等最新の動向には注目したいものの、しばらくは、特定技能1号として滞在する外国人は、在留資格を「技能実習」から「特定技能」へ移行するケースが大半を占めると予想されます。
執筆者紹介
棚橋 朋香 社会保険労務士法人ザイムパートナーズ
金融機関にて預金・融資業務全般を従事後、社労士業界に身を置く。
財務・労務と多様な視点で企業様のお力になりたいという思いをきっかけに、社会保険労務士資格を取得し、登録。
現在は労働者派遣事業許可申請支援、給与計算、労務手続、労務相談など多岐にわたる社会保険労務士業務に従事。
社会保険労務士法人ザイムパートナーズ